Soulmate

愛犬と過ごす日々の暮らし

大きな写真

我が家のあちらこちらにレオの写真が飾ってあります。
その中でも、玄関には全紙サイズの
大きな写真があります。
レオが、旅立ったらそうしようと
決めていた事の1つです。

レオが、我が家に来た時には、家族全員
それぞれに仕事や学校がありましたから
昼間は1匹で、お留守番の日々でした。
最初は子犬だったので、出かける時にはゲージの中に入れて行ったのですが
甘えん坊で、ゲージに入れられた途端
「キャイン!キャイン」と鳴いてばかりでした。
可哀想だなーと思いながら、その内に鳴き止むだろうと思い「レオ、行ってきます。待ってね。」と声をかけて家を出ました。
ところが、ご近所さんから「毎日ずっと鳴いてるよ」と教えられました。
わりとしつこい性格だったみたいです。
少しずつ身体も大きくなって来て
ゲージは、上に蓋のないタイプでしたから
鳴くのをやめて脱走を試みるようになり、ある日帰ったら玄関先で笑ったような顔で待っていました。
「エッ!?どうして」驚きました。

それからも脱走を繰り返すので、ゲージでの留守番は諦め、家の中で自由に留守番をさせる事にしました。
1歳になるまでは、帰るたびに
部屋の中が驚くほど荒らされていました。
クッションをビリビリと破き、中身(綿)が出てしまい床一面に散らばってたり、障子の紙を全て飛び乗り、手で破いていたり、言い出したら切りがありません
毎日、帰って玄関を開けるのに
「今日は、何事もありませんように」と祈る思いでした。

娘達は、買ったばかりのお気に入りの靴を
何度も噛みちぎられ、玄関に座って
泣いていた事もあります。
レオは、悪くないのです。
ラブラドールの子犬は好奇心旺盛でどの子犬も通る道だと思います。
そこに興味ある物があるから、置いている私達が悪いのです。
人間のようにテレビを観たり、遊んだり
して暇を潰せないから
お留守番はこの上なく退屈な長い時間
だったのでしょう。
そんなレオが、私達が帰って来ると
一目散に玄関に走り、喜びを身体中に
表現しながら待っていてくれました。
1歳を過ぎると、体内時計でこれだけ待てば帰って来ると感じとったのか、大人しくお留守番が出来るようになりました。

飲み会とかで深夜になっても
家族は寝てるのに、レオはサッと起きて
出迎えをしてくれます。
そんな時は、嬉しい限りです。
「レオただいま、待ってくれて
ありがとうね!もう寝て良いよ」と
話しかけると、トボトボ歩き眠ります。

老年期になると、脚の筋力が衰え
廊下を立つ時に滑り、かなりの体力が
いるようになって、あまり場所を
移動しなくなりました。
それでも私が帰る時間になると
玄関まで歩いて、床に寝ています。
玄関を開ける前から大きな声で吠え
パッと立ち上がれなくなってしまったから
寝たまま太い尻尾を床に何度も叩きつけて
あふれんばかりに喜びを表していました。

熊本で大きな地震があった年には
我が家にも多少影響がありました。
その頃、レオの脚は弱っていたので
何かあって逃げなくてはいけなくなった
時の為に、すぐに連れ出せる様にと
気候の良い時期だった事もあり
毎夜、玄関の廊下に寝かせていました。

レオが亡くなって、1番に現実を痛感したのが、玄関での出迎えです。
仕事から帰って来ても声は聞こえず
玄関を開けても姿が無く、何度泣き崩れた事でしょう。

玄関を開けて真正面にレオの大きな写真を
飾りました。
帰った時に真っ先にレオの顔が目に入ります。
「ただいま待ってくれた」と呟きます。
はにかみ笑顔のレオが黙って、そこに居ます。